2023年(令和5)年末にあたって(コロナ禍4年目に思うこと)

はじめに

団塊の世代一期生の私は、今年(2023年)の初めに後期高齢者の仲間入りをしました。ただし従来どおり、広島市内の保険薬局で薬剤師として働いています。(週1.5日+α)

さて、今年春になり(5月8日)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけが、感染症法上では、「いわゆる2類相当」(新型インフルエンザ等感染症などと同等)から「5類感染症」(季節性インフルエンザなどと同等)に変わりました。

そうした中で、今年もさまざまな出来事がありました。

国立国会図書館に納本:『サリドマイド事件―世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか―』2023年02月

サリドマイド事件とは、催眠・鎮静剤サリドマイドを妊娠初期の女性が服用することによって、胎児(正確には胎芽期)に四肢短縮などの障害(奇形)を生じた世界的な薬害事件のことを言います。昭和35年前後の話です。(1950年代後半から1960年代初頭にかけて)

私は、2015年3月(平成27)、『サリドマイド事件』の初版(Kindle版/電子書籍)を出版しました。その内容は、1999年7月(平成11)開設の「Akimasa Net」(自分メディアとしてのWebサイト)で、折に触れて書きためていた資料を抜き出してまとめたものです。

ところで、Amazon KDPでは、2021年10月(平成3)から、個人が直接ペーパーバック(紙の書籍)を販売できるようになりました。POD(プリントオンデマンド)方式によるもので、注文に応じて一冊ずつ印刷するため在庫を持つ必要がなく、出版のリスクを回避することができます。

私も早速、『サリドマイド事件』のペーパーバック版を作成しました。この初版の発行日を2021年11月15日としたのは、サリドマイドの危険性に警告を発した「レンツ警告」(1961/11/15)から、ちょうど60年の節目の日に合わせたものです。

その翌年、第2版(2022年4月)で何とか恥ずかしくない体裁が整ったため、国立国会図書館に自分の手で初めて納本しました。今年になって、更にペーパーバック第3版(2023年2月)を決定版として、改めて国立国会図書館(東京)に納本しました。

第3版刊行に向けては、法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ「川俣修壽・サリドマイド事件関係資料」をはじめ、広島県立図書館や国立国会図書館で、昨年来大変お世話になりました。

なお今年11月時点で、国立国会図書館関西館(京都)から、第3版の見積もり依頼があり、1冊お買い上げいただく手続きを進めているところです。

参考)私の出稿用ファイルは、Kindle版(電子書籍)とPOD版(紙の書籍)の両方共、ほぼすべて自分一人で作っています。

追記)年末までに、国立国会図書館関西館に1冊無事納品しました。

『坊がつる讃歌 誕生物語―広島高師をめぐる人と人のつながりを追って―』2023年04月

芹洋子の「坊がつる讃歌」について

本書は、”坊がつる讃歌誕生物語”の決定版として作成しています。Kindle版(第3版の最新刷)からペーパーバック版(初版、2023年4月)を作成して、国立国会図書館に納本しました。

芹洋子の「坊がつる讃歌」は、NHK「みんなのうた」(1978年6月・7月)で初めて披露され大ヒットしました。その2年前には、彼女の代表曲の一つである「四季の歌」が、各社競作でレコード化されヒットしていました。

しかしながら、芹洋子が紅白初出場を果たしたのは、この1978年大みそかの第29回NHK紅白歌合戦です。そこで彼女は、「坊がつる讃歌」を歌いました。

さて「坊がつる讃歌」は、坊がつる(大分県竹田市)で、九州大学の学生3人によって作られた「坊がつる賛歌」(1952年7月作成:昭和27)を多少アレンジしたものになっています。

元歌「廣島高師の山男」について

「坊がつる賛歌」(大分県)にも元歌があり、それが「廣島高師の山男」(広島県)です。

「廣島高師の山男」とは、廣島高等師範学校山岳部第一歌のことで、単に「山男の歌」とも呼ばれています。作詞は1937年(昭和12)ごろであり、1940年8月(昭和15)に曲として完成しています。

ここで廣島高師(廣島高等師範学校)とは、官立の中等学校男子教員養成機関のことであり、戦前の広島には、旧制の中等学校教員を目指して全国から教師の卵が大勢集まってきていました。

「広島高師の山男」は、そうした教師志望の学生の間で歌われ、やがて、高師卒業とともに全国の中等学校(旧制)に拡散していきました。「坊がつる賛歌」は、大分県出身の教師が広島で覚えた「山男の歌」から生まれたのです。

もちろん「山男の歌」は、廣島高師の流れをくむ広島大学でも歌われ続けています。

当事者による”坊がつる讃歌誕生物語”には誤りが多すぎる

私のWebには、時々思いもかけないメールが飛び込んで来ることがあります。

ある時、「広島高師の山男」の作曲者のお孫さんからメールをいただきました。それをきっかけにして、ときにはお孫さんを介して、お母様(作曲者の二女)とのメール・手紙によるやり取り、更には電話でのインタビューをさせていただきました。

また、坊がつる讃歌に関しては、その他複数の方々からもメールをいただき情報交換をしました。それらを踏まえた上で、「坊がつる讃歌」が大ヒットした当時の各社新聞記事のクロスチェックを繰り返しました。

私は、こうして出来上がったペーパーバック版(2023年4月刊)を、広島県立図書館に寄贈しました。それを受けて、以下の『レファレンス協同データベース』(広島県立図書館2013年7月23日登録)は、同図書館によって直ちに削除されました。

「坊がつる讃歌」(ぼうがつるさんか)は,昭和15年に作曲された広島大学山岳部の歌と関係があるらしい。このことについて書いてある資料はないか。
広島県山岳連盟に問い合わせたところ,会報もみじ91号に関連の記述があると聞いた。
(以上、レファレンス協同データベースの質問内容)

広島県立図書館が上記の質問(および回答)を削除した理由は、同図書館が回答に用いた資料(上記の会報「もみじ91号」を含む)の中に明らかな誤りやあいまいな箇所が数多くあり、回答の質を保てないとの判断によるものと思われます。

それらの回答資料には、広島高師あるいは広島大学関係者の書き残した書籍なども複数含まれています。広島県立図書館において、これらの資料価値を正確に吟味した上で、坊がつる讃歌に関する「レファレンス協同データベース」を書き直していただくよう期待します。

さらに、広島大学教育学部の公式Webの中には、私が”坊がつる讃歌誕生物語”のキーマンと考える人物について全く何も言及されていません。私からの問い合せに対して、「全く何も分かりません」とのお答え一つで、当事者として「調べてみよう」という気概は一切感じることができませんでした。誠に残念なことです。

広島大学がオリジナリティを尊重する学問の府であるとするならば、広島高師「山男の歌」成立とその後の経緯などについて、原作者を顕彰しつつ、きちんと考察した文章をまとめて書き残しておくべきであると考えます。(なお、書籍版完成につき、私の坊がつる讃歌Webページは閉鎖しています)

インターネット上に誤りは流れ続ける

広島市内の歌声喫茶の歌集に、「雲に消えゆく山男」というのがあったと聞いたような記憶があります。インターネット上にも、かつて「雲に消えゆく山男」をよく歌っていたという話があったり、今でも歌詞そのものが載っているのを目にします。

しかしながら、この歌と「坊がつる讃歌」を結びつけて考えるのは誤りです。

「坊がつる讃歌」の元歌は、間違いなく廣島高等師範学校山岳部第一歌「広島高師の山男」です。私自身、周りの広島大学関係者から、それ以外の話を聞いたことはありません。

追記)12月になって、原曲の作曲者ご家族様から、改めてペーパーバック版を直接お買い上げいただきました。また、その本をご両親の墓前に供えたとご報告をいただきました。

『Obsidian 次世代型のメモアプリ―Zettelkasten 知的生産の技術を超えて―』2023年06月

私は本書で、無謀にもエンジニアの世界に足を踏み入れてしまいました。それがなぜか不思議と読まれています。なお本書でも、Kindle版(2023年6月)に引き続いて、ペーパーバック版(2023年9月)を出しています。

本の概要は、Amazon公式Webで読むことができます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C8ZMFM8P

さらに、上記ページの「試し読み」あるいは「サンプルを読む」をクリックすると、書籍の「はじめに」の部分を読むことができます。コロナ禍を踏まえて書いた力作になっています。こちらもお読みいただければ幸いです。

なお現在、Obsidian関連の別の書籍を執筆準備中です。

『白神山地と世界遺産登録―世界最大級の原生的なブナ林保護政策―北村正哉・青森県知事による青秋林道工事の見直し発言がすべてだった』2023年01月

日本初の世界遺産登録は、1993年12月9日(平成5)のことになります。

この時、白神山地(青森・秋田両県)と屋久島(鹿児島県)が自然遺産として登録され、同時に文化遺産として登録されたのが、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県生駒郡斑鳩町)と姫路城(兵庫県姫路市)です。

広島県では、その三年後の1996年12月6日(平成8)、「厳島神社」(廿日市市宮島町)と「原爆ドーム」(広島市中区)が、一緒に世界文化遺産に登録されました。

さて、21世紀に入ってしばらくの間、私は、西中国山地の細見谷渓畔林(現・広島県廿日市市吉和/広島・島根県境尾根付近)で遊んでいた時期があります。ブナなどの落葉広葉樹林帯を貫いて、すでに建設されていた未舗装の十方山林道(幅員3~4m)を、大規模林道化(拡幅・舗装化)する計画が進んでおり、自然保護の立場から反対していたのです。

結果として、2012年1月(平成24)、広島県(湯崎英彦知事)が国(旧・緑資源機構)の大規模林道事業を継承しないことを表明したため、細見谷渓畔林の原生的自然は、現状のまま保存されることになりました。

細見谷渓畔林(廿日市市吉和)は、ブナなどの落葉広葉樹林帯に属しており、本州の山岳部を通って白神山地のブナ原生林につながっています。この北方の落葉広葉樹林帯こそ、三内丸山遺跡(青森県)など「東日本」の豊かな縄文文化を育んだ樹林帯です。

ところで、世界文化遺産「厳島神社」(廿日市市宮島町)の構成資産には、本社本殿を中心とする嚴島神社(神社の正式表記)の建造物群に加えて、大鳥居のある前面の海および背後の弥山原始林が含まれています。(厳島全島の約14%)

弥山(みせん)原始林は、「西日本」の照葉樹林(常緑広葉樹林)の典型とされています。この南方に連なる照葉樹林帯こそ、縄文に続く弥生文化を支えた稲作の渡ってきた道です。

つまり、広島県廿日市(はつかいち)市には、日本の本州を東西に二分する樹林帯である落葉広葉樹林帯(ナラ林帯)と常緑広葉樹林帯(照葉樹林帯)の二つの極相林が、同一市内に存在していることになります。

さて、白神山地が世界遺産に登録されるにあたっては、ある新聞記者(河北新報社:本社仙台市)が大きく関わっています。その方から、ある時私宛にWebを見たとメールをいただきました。

私のWebの内容が未熟であったため、気になったようです。それ以来、情報の取り扱い方などをはじめ数々のご指導をいただいています。

今年(2023年1月)に入って、『白神山地と世界遺産登録』(Kindle版)については決定版とすることができました。ただしその後、上記に書いたような案件が続いたため、ペーパーバック版を作ることができず、年末を迎えてしまいました。

追記)12月下旬、その方から、白神山地に関する新しい論文を書いたとのうれしいお電話がありました。

おわりに

以上、お読みいただきありがとうございます。これにて、今年の年末のご挨拶に代えさせていただきます。最後に、皆様方のますますのご健勝をお祈りいたします。

2022年(令和4)年末にあたって(コロナ禍3年目に思うこと)

無料キャンペーン
アマゾンKindle版『サリドマイド事件(第7版)』(最新:2023/02/25刷)
(2023年)3月5日17:00(日)~3月10日16:59(金)

はじめに

団塊の世代一期生の私は、年が明ければすぐに後期高齢者の仲間入りをします。最近の私は、週に1.5日ほど、広島市内の保険薬局で薬剤師として働いています。もちろん、管理薬剤師さんやスタッフの皆さま方に支えられての話です。

さて、今年も気付けば、はや師走、コロナ禍の3年目が間もなく終わろうとしています。しかしながら、事態終息の見通しが立たない中で、日本の医療界はと言えば、各種ワクチン接種をめぐる見解の相違などを含めて、ますます混沌としてきました。

ただ一つ確実に言えることは、一般市民の一人ひとりが、自分自身の頭で考え抜くことを求められる時代になったということでしょう。そしてそれは、日本の国力(正しく考える力)の向上につながる問題でもあると考えます。

以下にて、私なりに今年1年の重大ニュースをまとめてみました。これらの事柄が、前向きな情報交換の材料として、お役立ていただけるならば幸いです。

【重要】本文は全て私個人の見解であり、私が所属するいかなる組織の見解を代表するものではありません

国立国会図書館に納本:『サリドマイド事件~世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか~』

自著『サリドマイド事件』の更なる改訂版を、年内には広島県立図書館にも1冊寄贈する予定でした。ところが、日本のサリドマイド裁判(東京地裁)で証拠書類として挙げられている資料が、今日現在、存在しないかもしれないという驚愕の事態に遭遇しています。広島県立図書館から国立国会図書館へ、更なる調査を依頼したところです。

後日注)
法政大学 大原社会問題研究所 環境アーカイブズでもお世話になりました。
(川俣修壽・サリドマイド事件関係資料)

Kindle版(電子書籍)とPOD版(紙の書籍)の両方を作成

『サリドマイド事件』(POD版:紙の書籍、2021年11月15日刊)を多少手直しして、遅ればせながら今年(2022年)の春、国立国会図書館に納本しました。その後も、情報のクロスチェックを繰り返すことによって、より信頼性の高い書籍となるよう日々努力しています。

なお、アマゾンで配布のものには、Kindle版(電子書籍)とPOD版(紙の書籍)の両方があり、それぞれ表紙カバーが異なります(内容は全く同じです)。⇒ amzn.to/3xs7pzn

参考)サリドマイド事件とは、催眠・鎮静剤サリドマイド(化合物名:N-フタリル・グルタミン酸イミド)を妊娠初期の女性が服用することによって、胎児(正確には胎芽期)に四肢短縮などの障害(奇形)を生じた世界的な薬害事件(1950年代後半から1960年代初頭にかけて)のことを言います。

後日注)
上記「N-フタリル・グルタミン酸イミド:N-Phthalyl Glutamic Acid Imide(K17)」に対して、thalidomideの語源となった表記法では、「alpha-N-phthalimido-glutarimide(N-フタル・グルタミン酸イミド)」となります。

厚生労働省:HPVワクチンの定期接種について積極的な勧奨を再開

日本でのHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)は、2009年12月に接種が開始され、2013年4月1日からは定期接種となりました。ところが、その直前の2013年3月には、「2価HPVワクチンを接種した女子中学生に対し、杉並区が補償を決めた」という内容のスクープ記事が出ました。

世界で日本だけ積極的な勧奨を中断していた

厚生労働省は、HPVワクチンを定期接種とした直後の2013年6月、体調不良を訴える患者が増大したとして、積極的な勧奨をしない方針に変更しました。

それから約9年後、同省は今年(2022年)4月、HPVワクチン定期接種の積極的な勧奨を再開しました。また、日本産科婦人科学会(公益社団法人)では、WHO(世界保健機関)作成のスライドも紹介(日本語翻訳版)しながら、Web上で、資料「子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために」を公開しています。

薬被連(全国薬害被害者団体連絡協議会):HPVワクチンの積極的な勧奨に反対

HPVワクチンの副反応に関して、ある大学研究グループは、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)という概念を提唱しています。しかし、その副反応とされる症状とは一体どのようなものなのでしょうか。

HPVワクチンの副反応とは何か

薬被連は、HPVワクチンの積極的な勧奨に反対しています。その理由は、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団に属する被害者の訴えを、HPVワクチンの副反応と捉えているからです。

しかしながら、被害者がHPVワクチンの副反応として訴えている諸症状が、本当にHPVワクチンと因果関係のあるものかどうかについて、森内浩幸・長崎大学医学部教授は、次のような見解を示しています。

採血をしても画像検査をしても、特に異常は見つからないけれど、頭痛やだるさ、集中力の低下や物忘れ、症状が強ければ全身の痛みや歩行障害まで出現するこのような機能性身体症状は、元から思春期の子どもにあった問題」です。

ここでは、HPVワクチンは関係ないとする森内浩幸教授のお考えを、木下喬弘医師がまとめたものから引用しました。(木下喬弘. みんなで知ろう! 新型コロナワクチンとHPVワクチンの大切な話 (p.95). ワニブックス. Kindle 版)

森内浩幸教授:HPVワクチンで救える命を見殺しにしていいのか?

名古屋スタディ(鈴木貞夫・名古屋市立大学教授:2015年12月14日発表)では、「日本で問題になった24の症状すべてにおいて、ワクチン接種者も非接種者も同じ頻度で起こっている」ことをすでに証明していました。つまり、どの症状もワクチンとの因果関係は認められなかったのです。

大手新聞社の非科学的な報道は許せない

森内浩幸(もりうち ひろゆき)長崎大学小児科学教室主任教授(感染症学)は、次のような記事を書いています。(公開日:2021年5月20日)

HPVワクチンで救える命を見殺しにしていいのか?大手新聞社が握りつぶした幻の記事を再掲」BuzzFeed Japan Medicalで再掲載
https://www.buzzfeed.com/jp/hiroyukimoriuchi/hpvv-moriuchi-yomi
(以下、「」内すべて引用)

森内教授は、2021年当時の現況について、次のようにまとめています。

HPVワクチンは、「日本において(世界中で日本だけにおいて)、積極的な勧奨中止という判断の下、せっかく定期接種に加えられたというのに接種率はほぼゼロになってしまいました」。
「それは国内で338万人の少女に接種した後、体のいろんな部位の痛みだとか、体が勝手に動く不随意運動だとか気分不良だとか様々な訴えを持つようになったことが問題視されたからです」。

なお、この森内教授の文章の副題は、「大手新聞社が握りつぶした幻の記事を再掲」となっています。日本におけるHPVワクチンをめぐる混乱を招いた責任の一端が、大手新聞社(複数)の非科学的な報道姿勢にあったことは間違いありません。

WHOは、副反応ではなくストレス反応としている

さて、森内教授は、続けてWHOが提唱する概念について紹介しています。

「世界保健機関(WHO)は2019年12月に予防接種に関連する有害事象の一つとして、「ワクチン接種ストレス関連反応Immunization Stress Related Responses (ISRR)」という概念を提唱しています。ワクチンそのものによって起こるものではなく、予防接種への不安に関連して起こるストレス反応で、(一部略)不安感の強い若くて痩せた女性に起こりやすく、SNSを含めた周囲が不安を掻き立てることによって助長されるとしています。HPVワクチン接種後の訴えの多くは、この概念で説明できると考えられています」。

ワクチンに関係ない症状であろうともフォローすべき

さらに、森内教授は、症状に苦しんでいる子どもたちに対して、ワクチンは関係ないと突き放すのではなく、次のようにきちんとフォローすべきとしています。

「誤解してほしくないのは、これらの症状で苦しんでいる子どもたちがワクチンのせいであろうとなかろうと、しっかりと向き合い、その苦しみを除くために努力すべきだということです」。(以上、「」内すべて引用)

文部科学省:薬被連に寄り添い、HPVワクチンの積極的な勧奨に反対

薬被連は、これまでも文部科学省と連携しつつ、薬害教育に関して大きな役割を果たしてきました。日本の育薬・薬育のために、厚生労働省(医療全般)だけではなく、文部科学省(学校教育)が関わりながら、各大学の医療系学部で「薬害被害者の声を聞く授業を行うこと」などは、非常に意義深いことだと言えます。

薬被連から文部科学省に対してHPVワクチン反対表明

薬被連から文部科学省に対して、次のような要望が出されていました。

宛)文部科学大臣 萩生田光一様(2020年8月24日発)
発)全国薬害被害者団体連絡協議会、代表世話人 花井十伍
注)花井十伍さんは、自身も薬害エイズの被害者です。

要望書「文部科学省は、絶対に、学校現場において、HPVワクチンを推奨したり接種を勧めるパンフレット等を配布したりなどの広報をしないでください」。(一部のみ抜粋)

文部科学省は薬被連のHPVワクチン反対表明を受け入れた

文部科学省からは、それを受けて、次のような通知が出されていました。

2高医教第15号、令和2年9月9日
宛)医学部、歯学部、薬学部、看護学部等を置く各国公私立大学長 殿
発)文部科学省高等教育局医学教育課長、丸山浩(公印省略)

医学部、歯学部、薬学部、看護学部等における薬害問題に対する取組状況調査結果について(通知)

薬被連の要望書(別添1となっている)などを添付した上で、以下のように書かれていました。
薬害被害者の声を直接聞く授業や教員研修等の実施に当たっては全国薬害被害者団体連絡協議会に御協力をいただけるので、その場合は別添3に記載の担当窓口まで御連絡ください」。(一部のみ抜粋)

薬被連の”薬害教育”は、今後も一般市民のためになるのか

今回の件は、もちろん2020年(令和2)のことですから、HPVワクチンの定期接種について積極的な勧奨を再開することが決定(2021年10月)する前の話しです。

しかしながら、厚生労働省がHPVワクチンの積極的勧奨を再開しようとする中で、文部科学省はそれに反対する薬被連の要望を聞き入れた形になりました。しかも、HPVワクチンの積極的勧奨に反対している薬被連から、薬害教育の講師などを紹介してもらうことができるとまで言っているのです。

これは、紛れもなく省庁間のねじれ現象の極みと言えます。文部科学省は、薬被連と共に、今後どのような薬害教育を推し進めていこうとしているのでしょうか。
(この件は、本年2022年10月末ころから、SNSで話題に上がってきています)

「いしずえ」:公益財団法人としての役割は終わった

私は、薬害防止に向けて、被害者の方々の思いは重く受け止めるべきである、と考えています。だからこそ、その公式Webに曖昧な文章を掲載することは、決して許されることではないとも考えています。

「いしずえ」の態度は不誠実である

公益財団法人「いしずえ」(サリドマイド福祉センター)は、薬被連(全国薬害被害者団体連絡協議会)の主要な構成メンバーの一つです。その公式Webの中に、「サリドマイド事件-事件の概要/被害の実態」のページがあります。

私は、このページに幾つもの疑問点を見つけ、「いしずえ」の「お問合わせ」フォームで連絡をしたことがあります。2020年春ごろで、ちょうど安倍晋三元首相が、催奇形性のあるアビガン錠(抗インフルエンザウイルス剤)を、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、無理やり承認させようと前のめり状態になっていた時期のことです。

私が指摘した中で、一箇所だけは事務局の判断で直ちに手直しされました。

しかしその後は、「修正は必須、全面的な書き直しも検討(要約)」と、事務局から回答があったのみです。2年目の昨年夏(2021年)、再度確認したところ、返信メールすらありませんでした。3年目の今年春(2022年)、自著「サリドマイド事件」(紙の書籍)を一冊進呈しました。事務局から、「理事長の佐藤が読まさせていただきます(ママ)」とメールを頂きました。しかしながら、それでも公式Webの修正は行われませんでした。

佐藤嗣道理事長の態度は不誠実である

「いしずえ」の佐藤嗣道理事長は、自身もサリドマイド被害者です。薬学部を卒業後、博士号を取得(医学博士)して、現在は大学で准教授(薬剤疫学)を務めています。また、厚生労働省の委員会の委員(医薬品等行政評価・監視委員会委員)でもあります。

このような立場の理事長が、自らが長を務める組織の公式Webすらきちんと整備できないとは、とても信じられません。「いしずえ」は、公益財団法人として「薬害防止等に関する事業」を遂行するにはふさわしくない団体になったようです。

参考)「いしずえ」は、公式Webのトップページで次のように述べています。「いしずえはサリドマイド被害者の健康管理と福祉の増進、被害者の交流、薬害防止等に関する事業に取り組んでいます」。(2022/12/01再確認)

塩野義製薬(株):新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」(内服薬)緊急承認(2022/11/22)

医療用医薬品の国産化は、国益に直接つながる重要案件であると考えます。

審議の過程および有効性のいずれも納得できない

私は、数年前から塩野義製薬OB会に所属しています。ゾコーバに関しては、国の制度の下で承認された以上は、「国がきちんと定めた承認基準をしっかりとクリアーできているはず」としか言いようがありません。しかしながら、薬剤師の職能からすれば、臨機応変に対応する場面が多く出てきそうです

第8波はすでに始まっています。ゾコーバをいざというとき服用すべきかどうかについては、かかりつけの医師・薬剤師と相談の上、事前に学習しておくことをお勧めいたします。

あきまさ@日本語を大切にする薬剤師:@akimasa21(Twitter)

SNSは玉石混交だが光るものも多い魅力的な世界です。

大手マスメディアよりもSNSを

今年(2022年)春からTwitterを始めて、少しばかりやってみました。⇒@akimasa21(Twitter)

本当は、2009年11月にアカウントを取得して放置していたものです。律儀に古いアカウントを引っ張り出してきたものだから、経過年数は長いくせに中味はないし、積極的にフォローもしないし、評価は全くありません。最初は、最低でも1日1回はつぶやくことにしていましたが、最近ではそれも滞っています。

それでも、Twitterを始めてよかったと思います。この文章の上の方にも、SNSという単語が幾つか出ています。何と言っても、今は間違いなくSNSの時代です。情報の吟味さえできれば、新聞・テレビなどの大手マスメディアよりも、新鮮で奥が深いことは間違いありません

おわりに

以上、最後までお読みいただきありがとうございます。
これにて、年末のご挨拶に代えさせていただきます。
皆様方のますますのご健勝をお祈りいたします。

2021年(令和3)年末にあたって(引き続き、コロナ禍に思うこと)

緊急追記:2022年4月21日

『サリドマイド事件(第6版)』アマゾンKindle版(http://amzn.to/3xs7pzn)最終決定版完成。日本のサリドマイド事件がどう推移したのか、この資料なくして語ることはできません。シオノギの新型コロナウイルス感染症治療薬(内服)に催奇形性があるとのこと、どのように処理されるのか、超注目。

はじめに

団塊の世代一期生の私は、年が明ければすぐに後期高齢者一歩手前の年齢になります。

私は2021年12月現在、広島市内2か所の保険薬局(同一グループ)で、昨年と同様に月・木の週二日、一人薬剤師として働いています。もちろん各店舗の管理薬剤師さんやスタッフの皆さま方に支えられての話です。

さて、今年も昨年に引き続きコロナ禍(新型コロナウイルス感染症:COVID‑19)に明け暮れた年になりました。

日本国内では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(7~9月)を薄氷を踏む思いで乗り切った後、奇跡的な患者数の減少をみています。専門家の誰一人としてその原因を確信を持って語ることができない中で、新型コロナウイルスワクチンの急激な接種率上昇が大きな要因となっていることは間違いありません。

しかしながら、ワクチン既接種者(2回目接種済み)の抗体価は、ワクチン接種後数か月で相当程度下がることが分かってきています。そのため、追加接種(ブースター接種:回数としては3回目)が、今日12月1日から医療従事者を対象に全国で始まりました。

ところが、それと時を同じくしてまたもや新たな変異ウイルス(オミクロン)が出現し、既に日本国内にも複数ルートで入ってきています。

『サリドマイド事件』アマゾンで紙書籍発売(POD版)・無料キャンペーン(ただし電子書籍第5版)実施予定(12月5日~9日)

サリドマイド事件とは、催眠・鎮静剤サリドマイドを妊娠初期の女性が服用することによって、胎児(正確には胎芽期)に四肢短縮などの障害(奇形)を生じた世界的な薬害事件(1950年代後半から1960年代初頭にかけて)のことを言います。

つまり、サリドマイドには催奇形性があります。

サリドマイドの催奇性について初めて警鐘を鳴らしたのは、レンツ博士(西ドイツ、当時)です。今年は、そのいわゆるレンツ警告(1961年11月15日)から60年の節目の年になります。

私は以前から、自著『サリドマイド事件』(アマゾンKindle版)を版を改めながら発売しています。この度それを第5版(決定版)として、細かい書き換えを行っていました。そうこうするうちに、今年10月、アマゾンから紙書籍(POD版:プリント・オンデマンド/紙の本を必要部数だけ印刷する技術)を直接取り扱うとのお知らせが発表されました。

そこで急ぎ、Kindle版の原稿(EPUB形式)からテキストをWord(DOCX形式)に流し込んだうえで、入稿ファイル(PDF形式)を作成しました。電子書籍では実現できない柱(奇数・偶数ページ別立てとした)やノンブル(ページ番号)も入れました。表紙も新たに依頼しました。

ただいま紙書籍発売(POD版)を記念して、無料キャンペーン(ただし電子書籍第5版)を実施予定にしています。もしよろしかったらどうぞ!
(2021年12月5日(日)午後5時~10日(金)午後5時)

なお、アマゾンの書籍コード(10桁のASIN)は、初版から変わりありません。したがって、既にご購入済みの方は、すぐに書き換えてお読みいただけるはずです。

アマゾン著者ページ

薬被連(全国薬害被害者団体連絡協議会)

日本におけるサリドマイドの生存被害者(1981年5月最終認定:厚生省)は309名です。ただし、そのほか「やむにやまれぬ諸般の事情」によって、手を挙げなかった(名乗り出なかった)方などがいらっしゃいます。実際に私は、2020年5月、そうしたお一人からメールを頂いた経験があります。

サリドマイド被害者の会として、公益財団法人「いしずえ」(サリドマイド福祉センター)があります。そして同会は、そのほかの薬害被害者と連携して、薬被連(全国薬害被害者連絡協議会)を形成しています。

薬被連には、今年11月、8年ぶりに積極的勧奨を再開することになった子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の被害者で構成されたHPVワクチン薬害訴訟全国原告団、さらにはMMR(新三種混合ワクチン)被害児を救援する会などが参加しています。

薬被連は、当然とはいえワクチン接種そのものに対してより慎重になっています。

もちろん、それぞれのワクチン被害が生じた背景には、様々な要因があったことでしょう。しかしながら、例えばHPVワクチンについては、ワクチンの効果が副反応の頻度(程度)を上回るというデータが積み上がってきています。

こうしたデータをきちんと作成したり、それらを分析して正しく伝えることのできる真の専門家が求められています。今こそ、国・製薬企業やマスコミに限らず一般市民も含めて、本物は誰か(本質は何か)を見抜く力が求められています。

科学的根拠(evidence)に基づく考え方の強化は、日本の国力(正しく考える力)の向上につながる問題でもあります。自著『サリドマイド事件』における考察が、”感情面”も踏まえた上で本質を探る一助になれば幸いです。

シオノギ本社に行ってきました

私は60歳定年後再雇用満期4年(満64歳当日)まで、約42年間、塩野義製薬株式会社に所属していました。退職後は特に会社との関係はなかったのですが、2年前にOB会に入会することになりました。そしてこの度、11月末に本社での会議にまで押し出されてしまいました。

シオノギ製薬では現在、新型コロナウイルスワクチンや同感染症の治療薬(内服)を開発中です。成功の目途は立っているようです。かつて「抗生物質のシオノギ」の一員として、感染症領域に関わることの多かった私としてはハラハラ、ドキドキしながら見守っています。

新型コロナウイルス感染症との戦いは、来年が正念場になることでしょう。
皆さまご自愛ください。

2020年(令和2)年末にあたって・コロナ禍に思うこと

はじめに

今年(2020年)は庚子(かのえ ね)、そして私は年男でした。
還暦からさらに一回りしたことになります。

私は、2020年末現在、広島市内2か所の保険薬局(同一グループ)で、月・木の週二日、一人薬剤師として働いています。

さて今年は、新型コロナウイルスに翻弄された激動の第一年目になりました。
おそらく、このパンデミックが来年中に完全終息することはないと思われます。

私の勤務先でも、緊張の日々が今後も続くことになりそうです。

情報リテラシーの向上を目指して

コロナ禍の中で、世間では様々な情報が飛び交い、どれが真実か一見しただけでは判断がつきかねる状況が続いています。

信頼できる情報はどこにあるのか、そしてそれをどのように理解したらよいのか、with/after コロナの世界で、New Normal(新しい日常)を生き抜いていくためには、情報リテラシーの向上が必須と言えそうです。

一般市民の一人ひとりが、自分の頭で考えて行動するために、今こそ「文科系と理科系の教養を併せ持つ必要性」(作家・佐藤優)があることを痛感します。

サリドマイド事件~世界最大の薬害~

催奇形性を有するアビガン錠(抗インフルエンザ薬)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する国内3番目の治療薬として、今まさに追加承認されようとしています。

同じく催奇形性を有する薬物としては、かつて睡眠・鎮静剤として使用され大きな被害を出したサリドマイドがよく知られています。

サリドマイド製剤は、1960年(昭和35)前後に世界40か国以上で販売され、世界最大の薬害事件(四肢短縮などの奇形)を引き起こしました。

今年5月、そのサリドマイド被害者ご本人からメールを頂きました。
初めての経験です。

この方は、「サリドマイド訴訟に加わることも、和解後の認定を受けることもしなかった」、つまり未認定の方です。
「やむにやまれぬ諸般の事情で、名乗り出ることができなかった」のです。

そのほか、サリドマイドによる障害であると気付いていない方など、サリドマイド被害者は、認定309名(日本の場合)以外にも実在することが分かります。

この度、サリドマイド関連の事実関係について、さらなる見直しを行い、自著『サリドマイド事件~世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか~』(アマゾンKindle版)を第4版(2020年5月20日)としました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00V2CRN9G

なお、Web版もありますが、図版は省いています。
Kindle版には、図版の詳細な説明も付けています。

サリドマイド事件と情報リテラシーの向上

サリドマイド事件について見直す中で、信頼できる著者や書籍であっても、見過ごすことのできない間違いが幾つもあることに気付きました。

そこで、改めて『サリドマイド事件(第4版)』から最重要項目のみを抜き出して、自分用の『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』作成を試みました。

それが、『サリドマイド事件と情報リテラシーの向上』(アマゾンKindle版、2020年10月1日)です。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08KGT9VLT/

同書では、「データを基に世界を正しく見る習慣」をつけるために、保険薬局の薬剤師として手の届く限りではありますが、とことん事実関係を追及しています。

なお、『サリドマイド事件と情報リテラシーの向上』はコンパクト版です。
文章や図版の詳細な説明については、必要に応じて完全版『サリドマイド事件(第4版)』をご覧ください。

オンディマンド(ペーパーバック版)の発行

『サリドマイド事件と情報リテラシーの向上』について、オンディマンドで1冊ずつ注文のたびに印刷できるペーパーバック版(紙の本)を作成しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08KGT9VLT/
(2020年11月1日)

インプレスR&DによるNextPublishingというシステムを利用しました。
次のようなものです。

POD(プリントオンデマンド/必要部数だけ印刷する技術)を活用した、まったく新しいかたちの「内容・価格を自由に決める」個人出版支援サービスです。
特別なスキルは不要。
原稿(PDF)があればOKです。
1冊から無料で本を作って、誰でもかんたんにAmazonで販売できます。

もちろん、紙の本なので、電子書籍と違って印刷費はかかります。
しかし、それ以外は基本的に全て無料です。

私の場合、紙の書籍の原稿(PDF)は、以下の手順で作成しました。
注)私のKindle書籍(電子ブック)は、epub形式で作成しています。

  1. 原稿(PDFファイル)を作るため、Wordを用意します。
  2. Wordの中に、電子書籍の内容(テキスト文章と図版)を移します。
  3. 完成したWord原稿を、PDFファイル形式で書き出せば完成です。

なお、本の作成は、必ずしも公に出版することを前提とするものではありません。
例えば、個人用に手持ちするためだけの製本も、一冊から印刷可能です。
その場合でも、原稿ファイルの保管料などの費用は一切発生しません。

注)『サリドマイド事件』の内容を充実させることによって、『サリドマイド事件と情報リテラシーの向上』の内容を吸収できるため、現在サリドマイド事件と情報リテラシーの向上』は出版停止にしています。

「いしずえ」オフィシャルWebは、修正されませんでした。

この項は、以下のページに追記(移動)しました。
⇒「サリドマイド被害者のための福祉センター「いしずえ」
(2021/01/16)

以下、参考資料

現職の国会議員、新型コロナウイルス感染症で死去

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今年(2020年)最大の波が年末に襲来しています。

そうした中で、先日(12月27日)、現職の国会議員(男性、参議院議員)がCOVID-19によってお亡くなりになりました。
持病があったとはいえ、53歳の若さでした。

心よりご冥福をお祈りいたします。

議員が発熱したのは12月24日であり、翌25日にはPCR検査を電話予約(2日後の27日検査予定)しています。
そして、検査当日(12月27日)、秘書が運転する車で医療機関に向かう途中、容態が急変して車中で意識を失いました。
救急車を要請しましたが、搬送先の病院(東京都内)で死亡が確認されました。

そしてその後の検査で、新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。

現職の国会議員が、発熱後すぐに医療機関を受診しなかったのはなぜか、そして、PCR検査の予約を2日後まで待たなければならなかった理由は何なのか、危機管理の観点からは種々の疑問が残ります。

COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を公開/日本感染症学会

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する特効薬がない中で、COVID-19ワクチンの開発・普及が全世界的な急務となっています。

厚生労働省には、過去のワクチン行政の失敗(MMR、ジフテリアや子宮頸がんワクチンなど)を踏まえて、有効性・安全性が担保されたワクチンに正確な情報を添えて供給する義務があります。
そして一般国民には、それでも残るリスクを取るか取らないか、自ら判断する覚悟が求められています。

そうした中で、CareNetニュースは、12月30日、日本感染症学会による「COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)」について、下記のような紹介記事を掲載しました。

https://www.carenet.com/news/general/carenet/51453?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2020122404

欧米では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種が2020年12月初旬に開始され、わが国でも接種開始が期待されている。
日本感染症学会では、学会会員および国民に対し、現在海外で接種が開始されているCOVID-19ワクチンの有効性と安全性に関する科学的な情報を提供し、それぞれが接種の必要性を判断する際の参考にしてもらうべく、COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を作成し、12月28日、学会サイトに公開した。
今後、COVID-19ワクチンの国内外における状況の変化に伴い、内容を随時更新する予定という。(適宜改行を加えた)

同記事では、参考として、提言全文(PDFファイル)のURLも記載しています。
一般社団法人日本感染症学会ワクチン委員会「COVID-19 ワクチンに関する提言(第1版)」

その「COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)」を読むと、最後に「終わりに」として、以下のように結んでいます。

ワクチンも他の薬剤と同様にゼロリスクはあり得ません。
病気を予防するという利益と副反応のリスクを比較して、利益がリスクを大きく上回る場合に接種が推奨されます。
国が奨めるから接種するというのではなく、国民一人一人がその利益とリスクを正しく評価して、接種するかどうかを自分で判断することが必要です。
そのための正しい情報を適切な発信源から得ることが重要であり、国や地方公共団体および医療従事者はそのための情報発信とリスクコミュニケーションに心がける必要があると考えます。
COVID-19 の終息に向かって有効で安全なワクチンが、今後正しく理解され、広く普及してゆくことを願っています。(適宜改行を加えた)

同提言には、間もなく日本でも始まるであろうCOVID-19ワクチン接種について、一人ひとりが知っておくべき情報は、漏れなく書かれていると言ってよいでしょう。

ただし、その内容を全て読みこなすには多少の知識が必要です。
信頼できる医療関係者などから話を聞いて、それらを正しく理解する能力もまた情報リテラシーの一つと言えるでしょう。

アビガン錠は切り札となるか

アビガン錠(抗インフルエンザ薬)が、一部識者からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療の特効薬的な存在として紹介されています。

ただし、2020年現在、アビガン錠はCOVID-19治療薬として国から認められているわけではありません。

そこで、アビガン錠をCOVID-19治療薬として追加承認するための手続きが進められています。
しかしながら、2020年末までには決着がつきませんでした。

アビガン錠の追加承認見送り・2020/12/21

厚生労働省は、12月21日、薬事・食品衛生審議会の部会を開きました。

そして、アビガン錠の製造販売元である富士フィルム富山化学(株)が提出した「抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の製造販売承認事項一部変更承認申請(一変申請)」について審議しました。

同部会の審議では、アビガン錠のCOVID-19に対する有効性を現段階で明確に判断することは困難である、とされ継続審議となりました。

つまり、アビガン錠が2020年中に追加承認されることは無くなりました。

真の専門家は誰か、確かめてみよう

アビガン錠の追加承認をめぐっては、識者の間でも意見が分かれています。

例えば、以下のお二人の先生方の投稿は、真っ向から対立しています。
両方の記事を読み比べることによって、情報リテラシーは限りなく向上することでしょう。

まず、アビガン錠の追加承認見送りを受けて、メディカルトリビューンに、以下の記事が掲載されました。(2020年12月22日 15:23配信)

整形外科・川口浩
「アビガン承認見送り」の茶番
~「医療のアマチュア」と「無責任な為政者」がもたらす悲劇~
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/1222534114/

そして、この川口浩先生の投稿に対する反論記事が、同じくメディカルトリビューンに掲載されました。(2020年12月28日 16:47配信)

筆者は岩田健太郎先生です。

感染症・岩田健太郎
コロナはインフルの類なんて寝言を言うな!
本論の前に:アピガン承認見送りは妥当な判断だ(導入部分の文章)
(Web作者注、誤:アピガン、正:アビガン(一般名:ファビピラビル))
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/1228534295/

川口・岩田両先生は、共にメディカルトリビューンの連載記事(Doctor’s Eye)の著者です。
それぞれご自分の連載枠を持っており、今回はそれを使った記事となっています。

岩田健太郎先生の投稿の書き出しは、次のようになっています。

川口氏は「『ファビピラビルの承認見送り』の学術的根拠はあまりに希薄であり、サイエンスの公正性、国民の健康を無視した、ルール違反に基づいている。ここまで来ると、混乱、迷走を通り越して、茶番劇である」と、厚生労働省に対して容赦ない批判を行っている。

岩田先生は、記事本文の中で、川口先生の「「アビガン承認見送り」の茶番」と題する厚生労働省批判に対して、「アビガン錠の承認見送りは妥当な判断」との見解を示しています。

両先生の主張の是非はひとまずおくとして、私自身は、岩田先生が示された以下の基本原則に対して全面的に賛同いたします。

リスクを許容できるだけの大きなメリットがなければ、臨床現場での使用は容認されない。

アビガン錠は、あくまでもの軽症・中等症までの患者の治療薬と考えられます。
そうした薬物の副作用として、催奇形性などが許容できる範囲の副作用であるかどうか、リスク&ベネフィットの観点から検討すべきであると考えます。

アビガン錠の追加承認とは何か

アビガン錠の追加承認とは、アビガン錠(抗インフルエンザ薬)を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として認め、広く一般に使用できるようにすることを意味します。

アビガン錠は、既に以下のような効能・効果を有する薬物として、製造販売承認を取得(2014年3月24日)しています。(アビガン錠200mgの添付文書より)

【効能及び効果】
新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)

アビガン錠には催奇形性があり、通常のインフルエンザウイルス感染症で使われることはありません。
来るべき新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に対して、既存の抗インフルエンザ薬が全く耐性になったときに備えて、日本国政府によって一定量が備蓄されています。

なお、アビガン錠は、劇薬・処方箋医薬品に指定されていますが、薬価基準には収載されていません。

アビガン錠の立ち位置は?

富士フィルム富山化学(株)の試験は、COVID-19の患者を対象にした単盲検ランダム化多施設共同比較試験です。

対象患者は、人工呼吸器をつけていない入院患者です。
つまり、軽症・中等症までの患者ということができます。

そして同試験の結果をみると、アビガン錠投与によって、PCR検査で陰性になるまでの期間が2.8日短縮されたというレベルの内容となっています。(対照群14.7日→介入群11.9日)

COVID-19の大多数は、通常は治療薬なしで自然に治癒します。
そこで、COVID-19の治療薬として最も必要とされるのは、重症化を防ぎ死亡リスクを低下させることです。
アビガン錠に、そこまでのパワーは期待できそうにありません。

それに対して、アビガン錠には催奇形性があります。
また、尿酸値上昇や肝機能異常など、副作用が多く出ています。

アビガン錠に、そのリスクを取る価値があるかどうかが問われています。

追記

ポビドンヨードうがい液は新型コロナウイルス感染の拡大予防に役立つか
(吉村洋文・大阪府知事のまやかし)

ケネディ暗殺と宇宙中継(そして奇跡の日本語ナレーション)
追記:2020年12月
今年2月、KDDI MUSEUM(東京都多摩市)を設立準備中の関係者から、当Webを見たと言って突然のメールを頂いた。
同MUSEUMは、日本における国際通信の歴史などを紹介する史料館として、近々リニューアルオープン予定とのことである。
そして、その中の衛星通信コーナーの映像で、前田治郎さん(故人)のナレーションを使いたいとのこと。
そのためには、ご遺族の承諾が必要であり、私がその仲立ちをすることになった。
先様からは早速ご快諾を頂き、直接二人でご挨拶に伺いたかったのだが、このコロナ禍で年末まで延び延びとなっている。

日本海海戦(東郷ターンは丁字戦法ではなかった)
追記:2020年7月
さる著名な戦史研究家からメールを頂いた。
丁字戦法に関することなのだが、私の理解が追い付かず、このページにはまだ何も手を付けることができないままとなっている。

朝ドラ「あすか」-和菓子と考古学
追記:2020.9.27
「あすか」でヒロインを演じた竹内結子さんがお亡くなりになった。
このWebページのアクセス数が急増したことで初めて知った。
まだ40歳という若さであった。
心よりご冥福をお祈りいたします。

2020年(令和2)年頭にあたって

2020年(令和2)年頭にあたって

はじめに

令和最初の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

今年は庚子(かのえ ね)、そして私は年男です。還暦からさらに一回りしたことになります。

昨年の検査報告書(2019/10/10)には一点の曇りもないものの、私の怠け心から山行再開を果たすことができず、ズボンをほとんどダメにしてしまいました。(メタボ体型)

保険薬局の薬剤師として

私は、一昨年末(2018年11月)から、広島市東区の保険薬局で働いています(週1日+α)。

循環器内科の処方箋が多く勉強になります。もう一度本気で薬関連の記事を書いてみようと考えています。

⇒「日本の薬害・公害(Akimasa Net)

広島湾岸トレイルを歩く

一昨年の「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)では、広島県内でも山崩れなど甚大な被害を被りました。

広島湾岸トレイル(総距離300Km近く)の各山域も例外ではなく、ルート変更を余儀なくされた箇所も幾つかあります。ただし、多くの人たちの必死の努力によって「歩く山旅コース」は再建されました。

そして今年9月22~24日、その広島湾岸トレイルを舞台にした国際ウルトラトレイルランニングレース(広島湾岸TRAILRUN)の第1回大会が開催されることになりました。

広島湾岸TRAILRUNは、距離100Km以上というウルトラトレイルランの国際規格を有した大会になります。3月22日にはプレ大会(広島湾岸TRAILRUN EAST 47K)の開催が決定しています。

さて、ここしばらく私の山行に付き合ってくれていた孫たちは、サッカー(中1)や陸上(小3)を始めて楽しくやっているようです。そのほかの孫(成人二人、小2一人)も元気です。

私自身は、しばらくお休みしていた広島湾岸トレイルの整備(草刈り)から活動再開予定です。

⇒「ひろしま百山(私の踏み跡)Akimasa Net

Web&電子書籍

「記録は残すべき」というのが私の活動方針です。

Webそして電子書籍共に手探りながら、少しずつ楽しくやっています。

電子書籍発行状況(アマゾン Kindle版)は以下のとおりです。

昨年は新刊がなかったのが残念です。そうした中で、改訂版では、電子書籍ファイル(EPUB:イーパブ)の最新規格に沿った修正をしています。もちろん、書籍内容はなお一層充実したものになっています。

⇒「著者ページ(Amazon)

  • 「サリドマイド事件(第3版)」世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか(2019/10)
  • 「クマは人を食うか(第3版)」日本列島1万頭のクマはどこへ行く(2019/09)
  • 「坊がつる讃歌 誕生物語(第2版)」広島高師をめぐる人と人のつながりを追って(2019/03)
  • 「白神山地と世界遺産登録」北村・青森県知事による青秋林道建設の見直し発言(2018/12)
  • 「幻の焼杉山三角点を求めて」残雪の広島・島根県境尾根を行く(2018/04)
  • 「孫と歩く」ユネスコ世界文化遺産の島・厳島(2018/01)
  • 「塩野義製薬MR生活42年(第3版)」ある医薬情報担当者の半生(2017/06)
  • 「細見谷渓畔林と十方山林道」廿日市市の宝(2015/05)

今後に向けて、プロモーション活動を模索中です。

1964年東京オリンピック(10月10日~24日)

第18回オリンピック競技大会(東京五輪)の時、私は高校2年生(陸上競技部所属)でした。

今年の東京オリンピック・パラリンピックではどのようなドラマが待っているのでしょうか。アスリートファーストの素晴らしい大会となることを願っています。

  • 坂井義則さん(早稲田大学1年生)
  • 東京五輪・聖火最終ランナー
    聖火トーチを掲げて国立競技場のトラックを堂々と走る懐かしい映像を見るたびにあの日を思い出します。
    広島県三次高等学校(現・広島県立三次高等学校)出身
    私が廿日市高校1年の時、3年生の彼と1,600m(4×400m)リレーで一緒に走ったように記憶しています。於:広島県総合グランド(広島市西区)

  • 円谷幸吉さん(自衛隊体育学校)
  • 東京五輪・男子マラソン3位
    国立競技場内でヒートリー選手(英国)にかわされたシーンは忘れられません。
    現・福島県須賀川市出身

  • 君原健二さん(八幡製鉄)
  • 東京五輪・男子マラソン8位⇒メキシコ大会2位
    現・北九州市小倉北区出身、円谷幸吉さんと同学年、私の7学年上
    君原さんのコーチとして有名な高橋進さんは広島県佐伯郡(旧)出身。その佐伯陸協B(郡市の部)チームのメンバーとして、私は中国駅伝(1965年1月、全国都道府県対抗男子駅伝競走大会の前身の大会)で、区間こそ違え君原さんと同じ駅伝を走りました。

  • 織田幹雄さん(日本陸上競技選手団総監督)
  • 日本人初のオリンピック金メダリスト/1928年アムステルダムオリンピック三段跳び優勝(15m21cm)
    旧制広島一中(現・広島県立広島国泰寺高等学校)から広島高等師範附属臨時教員養成所を経て早稲田大学へ
    円谷幸吉さんをマラソンに転向させる。また、自身が東京五輪聖火最終ランナーの有力候補に挙がっていたが、「ぜひ戦後生まれの若いランナーに」と提言した。なお、高橋進さんも旧制広島一中出身(東京高等師範学校卒)である。

  • 猫田勝敏さん(日本専売公社広島地方局)
  • 東京五輪・男子バレーボール3位⇒メキシコ大会2位⇒ミュンヘン大会優勝
    広島県安佐郡出身(現・広島市安佐南区)世界一のセッター
    私の4学年上、小学校時代の猫田さんを安佐郡の小学生バレーボール大会で見たことがあるかもしれません。

⇒「団塊の世代一代記(Akimasa Net)

おわりに

今年一年の皆さま方のご多幸を心から祈念いたします。

山本明正

2019年(平成31)年頭にあたって

2019年(平成31)年頭にあたって

はじめに

平成最後の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

なお、昨年(2018年)は年頭のご挨拶を失礼しておりますので、2017年(平成29)からの流れの中でまとめさせていただきます。

追記(2019/06/21):

心房細動に対するカテーテルアブレーション後1年目の診察を受け、完治したとの判断が下されました。この半年間全く自覚症状(心臓の違和感)はなく、また今回の心電図にも異常はありませんでした。今後は、かかりつけ医における通常の診察(高血圧及び脂質異常症)の中での経過観察となります。

保険薬局の薬剤師として

私は、昨年7月(2018年)まで、保険薬局のパート薬剤師として働いていました。(JR呉線坂駅付近、広島県安芸郡坂町)

ところが、7月6日(金)午後6時台に勤務を終えて退出した直後、「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)に襲われて店舗が水没、再建不可能との経営者判断で失職しました。(なお1店舗のみの経営)

そして昨年末(2018年11月)、紹介してくださる方が有り、別の保険薬局で働き始めたところです(週1日+α)。今現在、職場の環境に慣れるため日々資料を手に取って眺めています。

私は、塩野義製薬(株)を定年後再雇用満期4年(満64歳)で退職した後、2012年2月(平成24)に保険薬剤師として業界に飛び込みました。

最初は正社員としてフルタイムで働き、その後少しずつ勤務日数を減らしていきました。そして、5年半勤めて2017年7月末(平成29)に退職をしました。(その間、正社員からパート勤務へ変更)

最初の保険薬局を退職後、再就職したのが今回水没した店舗でした。2017年10月(一昨年)から2018年7月(昨年)まで約9か月間勤めたことになります。

その間、業務に慣れないこともあり山行の回数も減ってしまいました。また、年頭のご挨拶も欠いてしまいました。

再びカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)実施

昨年(2018年)、山行の回数が減ったのにはもう一つの理由があります。昨年3月末ごろから「心房細動」が起きるようになり、その対応を考えながら勤務を続けていたのです。

主治医と相談した結果、12年前に「心房粗動」(右心房)でカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)を受けた担当医の元で、今度は左心房に対する同様の処置を受けて完治しました。(土谷総合病院、広島平和記念公園南側)

手術は6月末(4泊5日入院)のことで、退院した翌週に店舗が水没してしまいました。健康に関する懸念も無くなり、さあこれからというところでしたので、職場を失ったのはさすがにショックでした。

なお、今回のカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)後の経過は順調で、最初の3か月間こそ山行自粛(実際には経験したことのない極暑続きで山行不可能)となったものの、年末の心電図及び心音は非常にきれいだとお墨付きを頂きました。

一般血液検査では、高血圧・脂質異常症で服薬中ではあるものの異常値はありません。今後は、情けない程やせ細った大腿部に再び筋肉を付けるべく、山行も無理せず再開するつもりです。

Web&電子書籍

懸案事項であったWebの「WordPress」化は、2017年~2018年で一応完了しました。しかしながら、無手勝流の移行となったため、アクセス数を大幅に減らしてしまいました。

さて、「記録は残すべき」というのが私のWeb運営方針です。

私の記事の中には後世に残しておきたい資料もありますので、順次見直しを図りながら態勢を整え直していくつもりです。昨年末現在で、少しずつながらアクセス数が増加傾向にあるのが励みです。

電子書籍発行状況(アマゾン Kindle版)は以下のとおりです。⇒著者ページ(Amazon)

  • 「白神山地と世界遺産登録」北村・青森県知事による青秋林道建設の見直し発言(2018/12)
  • 「幻の焼杉山三角点を求めて」残雪の広島・島根県境尾根を行く(2018/04)
  • 「孫と歩く」ユネスコ世界文化遺産の島・厳島(2018/01)
  • 「クマは人を食うか」日本列島1万頭のクマはどこへ行く(2017/09)
  • 「坊がつる讃歌 誕生物語」広島高師をめぐる人と人のつながりを追って(2017/07)
  • 「塩野義製薬MR生活42年(第3版)」ある医薬情報担当者の半生(2017/06)
  • 「サリドマイド事件(第2版)」世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか(2016/10)
  • 「細見谷渓畔林と十方山林道」廿日市市の宝(2015/05)

今後に向けて、プロモーション活動をどうすべきか思案中です。

おわりに

今年一年の皆さま方のご多幸を心から祈念いたします。

山本明正

2017年(平成29)年頭にあたって

2016年(平成28)年頭にあたって

はじめに

2015年1月(平成27)、つまり昨年の1月、67歳になった私は「77歳喜寿までの10年間を黄金の10年」と定めました。そして、まず最初の一年間(2015年)を通して、「薬」、「本」、そして「山」という三つの柱を活動の中心に据えることができました。そうした中で、私はエストリビューター(総合電子出版代理人)になる決心をしました。

そこで、2016年(平成28)の年頭にあたって、このWebサイト「エストリビューターへの道」を立ち上げることにしました。(現在は、「団塊の世代一代記に統合」)

続きを読む →

2017年(平成29)年頭にあたって

はじめに

私は、昨年4月(2016年)、勤務形態を正社員(週4日)からパートタイム勤務に変更しました。そして、引き続き保険薬局にて週3日(火・水・木)フルタイムで働いています。

薬(勤務と広島医療情報研究会(主に広島県内の薬剤師による勉強会)参加)と山(広島湾岸トレイル活動)、そして本(電子書籍作成)でそれなりに忙しく過ごしています。

私は、一昨年(2015年6月)から広島湾岸トレイル構想に参加しています。

広島湾岸トレイルとは、広島湾岸を取り巻く4市5町を「歩く山旅」構想です。広島市、呉市、江田島市、廿日市市、安芸郡府中町・海田町・坂町・熊野町、そして山県郡北広島町を一周する全長約289.1㎞の「ロングトレイル」になります。

広島湾岸トレイル協議会(HWT協)が、昨年4月(2016年)の設立総会で正式に発足しました。HWT協の目的は、「広島湾岸トレイルの開発、維持、管理、運営をすることでコース周辺市町の地域振興、観光振興、登山振興を図る」ことです。私は、HWT協の監事を務めています。

HWT協には、各地域の山・環境団体が団体会員として参加しています。そのほか、これら団体に所属しない個人を対象にした広島湾岸トレイル倶楽部があり、私はその代表を務めています。

私は、昨年4月(2016年)、EWA(一般社団法人日本電子出版作家協会)公認のエストリビューター(総合電子出版代理人)になりました。エストリビューターとは、「電子出版を行いたい著者(企業)に対して、出版支援をする人」と定義されます。

私はその技術(ePub形式の製本)を生かして、自著二冊(アマゾン Kindle版)をプロ仕様で作り直しました。『塩野義製薬MR生活42年(第2版)』と『サリドマイド事件(第2版)』です。

初版(2015年刊)は二冊共、インターネット情報を頼りに私が自己流で作ったものです。表紙(カバー)もWindows付属のペイントで自作しました。第二版では、いずれの表紙(カバー)もプロのデザイナーさんにお願いしました。

『細見谷渓畔林と十方山林道』(2007年10月刊)

2017年は、自著『細見谷渓畔林と十方山林道』を電子書籍化することから始めます。

私の広島湾岸トレイル(歩く山旅)の原点は、西中国山地の細見谷渓畔林(けいはんりん)にあります。細見谷渓畔林は、広島・島根県境尾根に接する廿日市市(はつかいち~し)吉和地区(広島県)にあって、細見谷川上流の狭い谷底や斜面に発達した美しい水辺林となっています。

自著『細見谷渓畔林と十方山林道』は、私の出版活動の原点であり唯一の紙書籍(自費出版)です。豪雪地帯の西中国山地にある生物多様性の宝庫・細見谷渓畔林をめぐる出来事について書いています。

一昨年(2015年)には、同書を分割して電子書籍化することを試みたのですが、どうにもうまくいきません。半分くらいを出版してその後は放置状態になっています。

私は、昨年4月(2016年)、エストリビューター(総合電子出版代理人)になりました(前述)。それを機に、自著をきちんとした形で電子書籍化することにしました。

実は同書は、出版直後に出版社が倒産したため、正規の書店ルートでは流通していません。しかし幸いなことに、アマゾンに書籍データが登録されたままになっており、現在でもアマゾンで古書として流通しています。

本書を電子書籍化することによって、書籍流通の簡素化及び絶版回避ができるものと考えています。

『塩野義製薬MR生活42年(第2版)』(2016年4月刊)

2017年は、さらに「ディオバン事件とMR(医薬情報担当者)」に関する項目を追加する予定です。

同書(第2版)は、昨年4月(2016年)、新たに幾つかの項目を追加して決定版としたつもりでした。

しかし、山崎力著『医師もMRも幸せにする患者のための情報吟味―ディオバン事件以降の臨床研究リテラシー 』SCICUS(2014年刊)を読んで考えました。以前から気になっていたディオバン事件について、その本質を捉えた文章だったからです。

「ディオバン事件(ディオバンじけん)とは、高血圧の治療薬であるディオバン(一般名:バルサルタン)の医師主導臨床研究にノバルティス日本法人のノバルティスファーマ社の社員が統計解析者として関与した利益相反問題(COI: Confilict of Interest)、および、臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして一連の論文が撤回された事件を指す」。ディオバン事件 – Wikipedia(2016年12月30日閲覧)

山崎著では、研究活動にお金が掛かることは当然だとしています。例えば、医師主導臨床研究として行われたディオバン事件について考えてみましょう。

ディオバンに関わる膨大なデータはメーカー(ノバルティスファーマ社)が持っています。医師主導臨床研究で得られたデータをそれらのデータと突き合わせることによって、より詳細(正確)な解析が可能となります。つまり、データの信頼性が高まります。

メーカー(ノバルティスファーマ社)の膨大なデータを取り扱えば、当然お金は掛かります。しかし、お金の出所を明らかにした上で、統計解析をきちんと行えば何も問題はない、そのための仕組み作りが大切として、種々の具体的な提案をしています。

MR(医薬情報担当者)には、そうしたデータ解析の前提と結果をきちんと理解する能力が求められます。

『広島湾岸トレイルを歩く』(未完)

2017年は、既存の上記2冊を仕上げた上で(期限3月末まで)、山関連の電子書籍を1冊作成しながら、広島湾岸トレイルの書籍も発行したいと考えています。

ただし、その形がどのようなものになるのか、今のところ未定です。

『記者ハンドブック(第13版)』(2016年3月刊)

最近の私は、「常用漢字表」(2010年内閣告示)及び「送り仮名の付け方」(1973年内閣告示)を意識して文章を書いています。

具体的な参考書として最初に買ったのは、廣瀬菊雄著『公用文表記の基礎知識』矯正協会(1992年刊)です。

2010年内閣告示(新常用漢字表)の内容が反映されていない旧版です。しかしながら、複数の漢字のうちどれを使うべきか、そして送り仮名はどうするのか、あるいは漢字ではなく平仮名にすべきなのかなど、公用文作成に長年携わってきた著者による信頼感あふれる書籍となっています。注:2012年改訂増補版有り

ぎょうせい公用文研究会編『最新公用文用字用語例集』ぎょうせい(2010年刊)も、用字用語の例数が多くて重宝します。定評のある書籍だそうです。

私は、昨年(2016年)から、共同通信社編著『記者ハンドブック(第13版)新聞用字用語集』共同通信社(2016年3月刊)を使っています。

その広告文には、「29年ぶり大改定! 新常用漢字に対応! 書き方の基本、豊富な用例、充実の資料。日本で最も多くの記者が使っている文章執筆のための必携書」とあります。

地方紙の新聞記者のほぼ全ての方が使っているようです。私もWeb上で文章を書くことが多く、『記者ハンドブック』のスタイルで行こうかなと思ったのですが、特に次の点が嫌いで、その全てを受け入れることができていません。

約10か月後(公用文)⇒約10カ月後(記者ハンドブックp.180)
4月1日付け(公用文)⇒4月1日付(記者ハンドブックp.345)

そのほか、公用文では、副詞(漢字を用いる)と接続詞(平仮名)で違う場合が多くあります。しかし、記者ハンドブックでは、副詞もほとんどが平仮名としています。

また、『記者ハンドブック』p.94では、送り仮名の付け方について、「内閣告示の「本則(例外を含む)」に統一し、「許容」は採用しない」としています。

これに対して、公用文の場合には、例えば(複合語の場合)、取り消す(送り仮名を付ける)→取消し(送り仮名を省く)→取消処分(送り仮名を付けない)のように変化します。

Web上でよく見かける、お「問合せ」(公用文)⇒お「問い合わせ」(記者ハンドブック)は分かりやすい例かもしれません。

いずれの方式を用いるにしても、一つの文章、一つの書籍全体では統一した表記が求められます。私は自分用の用字用語集(基本は公用文)として、『記者ハンドブック』に書き込みを入れながら整理をしています。

ホームページ(WordPress)移行

今まで便利に使っていたホームページソフトが開発中止になるというので、昨年から世界的に大きなシェアを誇るWordPressに移行中です。今年2017年中には、主なページで引っ越し作業を完了したいと考えています。

広島湾岸トレイル倶楽部の活動方針

【理念】

太田川流域の里山・里海を守り・育て、次世代に引き継ぐ。

【目的】

広島湾岸地域で育まれた里山や里海の美しい自然及び歴史・文化遺産を尊重し、もって地域社会における持続可能で豊かな社会生活の発展に寄与するものとする。
⇒(規約第3条)

【手段】

(目的達成のため)、広島湾岸トレイルの開発、維持、管理及び運営を目的として組織された広島湾岸トレイル協議会に加盟団体として参加する。その上で、協議会の運営に積極的に協力するものとする。
⇒(規約第4条)

【マインドセット】

1)「個」の時代の「今」を楽しく生きる
2)自然とは、祖先からの授かり物ではなく、子孫からの預かり物である
3)できるとき、できることを、できるだけ

おわりに

今年一年の皆さま方のご多幸を心から祈念いたします。

山本明正

2016年(平成28)年頭にあたって