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<内黒峠縦走路>


内黒峠縦走路は、1977年(昭和52年)のインターハイのために整備された登山道だ。内黒峠から、彦八の頭1151.9m〜丸子頭1236.3mの二つの三角点を越えてゆく縦走路で、タフなコースである。丸子頭手前の1152mまでいくつかあるアップダウンはきつい。丸子頭以降はあまり高低差はないとはいうものの距離はまだたっぷり残っている。地図とコンパスを持たない場合、現在位置が確認できず精神的にきついかもしれない。

取り付き口:

内黒峠縦走路の登山口は、広島県道252号(恐羅漢公園線、戸河内〜内黒峠〜二軒小屋)最高点の内黒峠にある。まず、中国自動車道(戸河内インター)から国道191号を三段峡方面に向う。やがて、安芸太田町戸河内にある町役場前を通過する。しばらくして、太田川合流点付近の信号を左折した所にある明神橋で柴木川を渡る。そして、すぐに右折すれば県道252号に入り、そのまま坂道を登れば内黒峠に至る。

なお、明神橋を渡って右折せずに直進すれば、広島県道296号(吉和戸河内線)となる。県道296号は太田川左岸をさかのぼり、十方山登山口(那須入口と立岩貯水池)や立野キャンプ場(黒ダキ山出発点)入口を経て吉和インターに通じる。

出発地点の内黒峠最高点(990m台)から西側に踏み跡があり、樹間をのぞきこむと、"加藤武三之碑"が見える。その右横には、内黒峠避難所が草の中に埋もれている。踏み跡は、碑の前を通ってその先まで延びており、そこに踏み込んでそのまま稜線を行く。したがって、登山道は地形図点線の通りと思ってほぼ間違いない。ただし、地形図点線よりも忠実に尾根を追っていくので、実際にはもっと細かく左右に振られることがある。なお、縦走路上の三角点付近は、二箇所とも巻き道となっており、三角点そのものは確認できない。

内黒峠縦走路のほとんどは樹間を行くので展望はあまりない。登り始めに右手が少し見えた後しばらく我慢だ。1140m台ピークで、やっと前方の1166mを見る。先に進んで1110m台鞍部(1166m手前)でブナの森から左後に山影を認める。1166m下りでは、右手に恐羅漢山を見ることができる。彦八の頭1151.9mを過ぎた下りで再び恐羅漢山を見る。

カサゴヤキビレ1050m台手前で少し地形が入り組んでおり、地形図と対比させながら進む。鞍部のわずか手前で左手に展望が少し開ける。頭をのぞかせているのは市間山か。その右手前には、那須登山道尾根(藤十郎1200m台〜前三ツ倉1312m)があり、そのさらに右手前には、内黒峠縦走路すぐ先のピーク1152mから南南東に流れる尾根が大きい(ピークは行く手の樹間に隠れるようだ)。そこから少し登ると二軒小屋分岐(藤本新道下山口)がある。

丸子頭1236.3m:

丸子頭1236.3mを過ぎ、所々で草原状態となり展望が開ける。とはいっても、前方の展望が少し開けるだけだ。内黒峠縦走路(1230m台〜1280m台〜前三ツ倉)の右奥に十方山(1318.9m〜1328m)という位置関係で、その都度見えるピークが少しづつ異なっている。標高1250m前後(前三ツ倉1312m手前)の登りで後を振り返ると、丸子頭の左奥に恐羅漢山、右奥に1166m〜砥石郷山、さらにその右奥に刈尾山などが見える。刈尾山の左右奥は、大佐山と掛頭山だ。

前三ツ倉1312mで那須登山道を吸収する。合流地点は1312mピークそのもので、地形図点線のそれとは異なっている。地形図では、昔の那須登山道表示がそのまま残っているのであろう。前三ツ倉から、一旦鞍部に下って登り1300m台に乗る。そこからほぼ尾根に忠実に奥三ツ倉1320m台に至る。"奥三つ倉は樹林の中の平坦な峯であるが、最高所に岩塊があるので位置確認は容易である。"(「西中国山地」P.103)

前三ツ倉、中三ツ倉、奥三ツ倉の位置表示は、「西中国山地」、「ひろしま百山」あるいはその他資料によってまちまちであり、周辺にあるどの集落の呼称を採用するかによって、同一資料中においてすら整合性がとれていない場合がある。本書の表記は、前三ツ倉1312m(2006年現在の那須登山道分岐点)、奥三ツ倉1320m台(最高点に岩塊あり)とする。その奥三ツ倉1320m台ピークから、論所と呼ばれる鞍部(掘割り)を通って十方山に至る。この間もほぼ尾根筋をいく。したがって、奥三ツ倉からは地形図点線の南側を行き、潅木の中からチマキザサ−アカモノ群落の平坦な草原に躍り出る。

内黒峠コースの植生:

内黒峠から前三ツ倉までは、ほとんど背丈ほどのササ道を行く。丸子頭あたりまで所々スギやヒノキの植林があり、天然の針葉樹としては、八郎スギとイヌガヤの幼木が多少見られる程度だ。あとは落葉広葉樹林の気持ちよい縦走路が続く。なお、内黒峠コースは、前半部の方が巨樹が多く楽しめる。

広葉樹は、ブナ、ミズナラを中心として、ナツツバキも多く、その他、リョウブ、ホオノキ、ウリハダカエデなどを見る。低木では、コバノガマズミ、ミヤマガマズミ、サワフタギ、イボタノキなど。足元には、ササの他、ミヤマフユイチゴ、ハスノハイチゴ、ナガバモミジイチゴ、ビロードイチゴ、イヌツゲなどの他、ムラサキマユミも見る。

草本では、アキノキリンソウ、キンミズヒキ、ヒメキンミズヒキ、ツルリンドウやスゲの仲間。シダの類ではトウゲシバ、ヒカゲノカズラに、リョウメンシダも所々に見る。前三ツ倉あたりからツルシキミやミヤマカタバミが見られるようになり、コマユミが目に付くようになる。

前三ツ倉から奥三ツ倉(1320m台)を経て、論所(1260m前後)までは緩やかなアップダウンはあるものの、ほとんどなだらかな登山道。ササは背丈を超えるくらいまで大きく、ササが刈られた足下にニワトコの幼木が多く見られる。この間もあまり大きくないコミネカエデ、リョウブ、ウリハダカエデ、オオカメノキ、ホオノキなどに混じって、天然と思われる八郎スギが見られる。

論所を越えて登りにかかると、ブナ、ミズナラ、八郎スギの大きな木が出てくるとともに、足下にイヌツゲやスゲの仲間が見られるようになり、間もなくササの足下にアカモノを見て、高さ1mほどのササ原の山頂(1318.9m)に着く。


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