AKIMASA.NET >> 細見谷渓畔林と十方山林道(出版計画)

 

<下山林道>


下山橋:

二軒小屋(標高800m台)から十方山林道に入り、水越峠(標高990m台)を越えて下ると、やがて下山橋(標高870m台)に至る。そこから、下山林道が南に向って十方山南西尾根を上がっている(二万五千分1地形図、黒実線)。きれいな未舗装林道で、峠(標高1090m台)の少し先までは車輌通行可能と思われる。(ただし、下山橋にゲートがあり一般車は進入禁止)

下山林道は、峠を越えると、南西尾根の東南面を北東に向い、瀬戸谷南尾根近くに至る(地形図記載の通り)。そして実は、地形図には全く記載のない分岐道が存在している。峠を越えてすぐのところにある十方山雨量観測局横から延びる林道で、こちらは逆に南西に向い、黒ダキ山手前に至る。

北東に延びる林道(地形図記載あり)は、バーノキビレ下を通り越して延びている。峠から終端部に向けて、道はだんだんと悪くなり、途中からはとても車で通れる状態ではなくなる。林道は、地形図表記よりもさらに先まで延びており、終端部から十方山のメイン登山道である瀬戸谷南尾根コースまで、直線距離にしてわずか325m位しかない。

下山林道東終端部の位置は、ウシロヤマ谷右岸尾根の標高950〜970m位の地点だ。950m等高線が大きく南に張り出した地点の北北東にある小さな尾根突端部辺りになる。

終端部から十方山に至るには、まずウシロヤマ谷に下りて、沢の中を下る。そして、南尾根コース上の三つ倉1030m台から西北西に落ちる尾根手前で左折して、その尾根の北側(ウシロヤマ谷支流)に入る。沢を詰めて登ると、南尾根コース(標高約1000m)に至る。普通の登山靴で歩けなくはないが、沢靴が適当であろう。

南西に延びる林道(地形図記載なし)は、十方山雨量観測局の東側を南に曲がる地点から、すでに繁っている。山側が崩れて人一人がやっと歩けるようになっている所もある。完全に廃道状態だ。

下山林道西終端部は、十方山南西尾根1120m台から南東に流れ落ちる支尾根の標高約1020m地点と思われる。終端部のすぐ上は猛烈なブッシュだ。がまんして登り、尾根に乗っていることがはっきりと分かるようになる頃、ブッシュは背丈ほどのササだけに変わり少し歩きやすくなる。

稜線に出ると、南西に向けて、全体的にほぼ下りを行く。腰まであるササ原の足元にかすかに見える踏み跡を追って行くと、黒ダキ山分岐1100m台に至る。

立野キャンプ場:

ところで、立野キャンプ場から、細見谷渓谷(細見谷川下流部)に沿った林道があり、それも下山林道(地形図黒点線)といっている。上記林道とつなげる予定だったのだろう。

立野キャンプ場から、細見谷川にかかる細見谷橋を左岸に渡る。林道は、現在は建設中止となっておりかなり荒れている。山側から土砂が崩れ落ちる、岩石が崩れ落ちる、時にはそれらで完全に林道が塞がれた状態となっていたりする。ただし、しっかりとした踏み跡がありそれに従う。

下山林道は、幅員3m(4トントラック通行可能)の林道として一旦は整備されたもののようである。林道の谷側を擁壁で固めた箇所がある。ガードレール、カーブミラーまで設置してある。しかし、今では林道上や崩れ落ちた岩石の上まで木々が生えて成長している。この林道は今、自然に帰ろうとしているところだ。

カーブミラー(標高約600m)の所から、一ノ谷に下りることができるという。そのすぐ先の小谷から、一ノ谷上流のゴルジュを抜けた辺りへ下りる踏み跡があるらしい。いずれもまだ確認したことはない。

テンガタキ谷(水流豊富)を過ぎると、林道は大きく左に廻り更に右折する。ここが黒ダキ山への取り付き口となる(標高約720m)。さらに進むと、林道最西端(標高約740m)に至る。林道が大きく右に曲がって56度(磁北から)を向く少し手前である。ここからクロダキ谷に下りることができる。林道は、さらに奥へ延びており、その終端部は、クロダキ谷上流部の標高約720m地点のようだ。

下山林道建設中止:

「西中国山地」P.105によると、「細見谷のマゴクロウ谷落ち口より、十方山南西尾根の最低鞍部(細見谷側五月谷と瀬戸谷側中の谷)を越して、瀬戸谷水源部へ降りる林道の建設が進められている。谷はズタズタに切断され、早晩伐採の運命にあるのではないかと思われる」。

さらに、「この濁り水は中の谷から出ていることがわかった。(中略)谷の水源部に近づくと濁水の原因が判明した。林道が十方山の南西尾根を横切っている地点より大崩壊が起こり、300m近く岩床が露出し、下部に倒木・岩塊・土砂が堆積していた。峠付近では林道工事のブルトーザーが唸り、静かであったこの谷も、先が見えてきたようだ」(同P.106)と述べている。

幸いなことに、瀬戸谷、細見谷渓谷ともに、現在でも自然林の美しいエリアとして残っている。林道建設反対運動によって、下山林道が建設中止になった結果であることはまちがいない。


桑原良敏「西中国山地」1997年復刻版(初版1982年)溪水社


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