AKIMASA.NET >> 細見谷渓畔林と十方山林道(出版計画)
<環境保全調査検討委員会> 環境保全調査検討委員会とは: 環境保全調査検討委員会は、既設(未舗装)の十方山林道(細見谷林道)を大規模林道事業に組み込んで、拡幅舗装化(一部舗装化のみ、一部新設)することの是非をめぐる検討のため、緑資源機構によって2004年春に設置された。同機構は、その目的を「林道工事の実施に伴う影響の予測・評価及び保全措置を専門的、学術的な見地から検討を行うため」としている。 ところが、中村慎吾座長は、検討委員会や意見聴取の会の席上で、「この委員会では林道の是非についての審議は任されていない」、「林道建設を前提とした検討委員会である」などと発言したため、環境NGOから抗議を受けている。もちろん林野庁の見解では、「環境保全は困難と検討委員会が結論を出せば計画は中止」とされている。 注:「環境保全調査検討委員会」に関する各種やりとりは、書籍「細見谷と十方山林道」2006年版の中で全般にわたって記載されている。煩雑になることを避けるため、以下では該当ページの表記は省略する。 工事着手のゴーサイン出る(ただし付帯意見付き): 環境保全調査検討委員会は、第9回委員会(2005年11月28日(月))で遂に緑資源機構の報告書(案)を承認した。これによって、十方山林道(細見谷林道)の拡幅舗装化工事着手に事実上のゴーサインが出たことになる。(2006年11月21(火)着手) ところで、委員会は全員一致で結審した訳ではなかった。座長を含む委員5名の内2名が付帯意見を提出している。細見谷の自然を正しく評価するためには、まだまだ調査データが不足している、というのだ。 その最終検討委員会に臨んで、波田善夫(岡山大学教授)は、委員会の調査精度やモニタリング等に関する見解を示した文書を、各委員および事務局に配布し声明を出そうとしたところ、座長による発言の許可が得られなかったそうだ。そこで、資料を回収した上でやむなく口頭で発言をしたという。 なお、結審後の意見書提出が認められ、同委員も新たな文書を提出した。そして、同意見書は評価調書の閲覧の際にも付属資料として縦覧された。しかしながら、他日ある人が閲覧しようとしたところ、付属資料のコピーは拒否されたという。あくまでも正式文書ではないという解釈なのであろうか。 委員会の経緯: 第一回目の委員会は、2004年6月4日(金)に開かれ、座長に中村慎吾・比婆科学教育振興会事務局長を選んでいる。そして、事務局(緑資源機構側)の提出した環境保全調査報告書(素案)について検討を開始した。当初委員会は、2004年8月末までに3回程度開催して結論(2005年度工事着工のGOサイン)を出す予定であったようだ。しかし、環境委で異論が続出し、第2回目以降の開催は遅れ気味となった。そして、2005年11月28日(月)第9回検討委員会(最終回)に至って、ようやく緑資源機構の報告書(案)を承認した。 さて、初回委員会は非公開であったが、第2回以降公開となっている。そして、第3回委員会終了後、一般から意見書提出(提出期間2004年12月02日〜12月22日)を求める措置が取られ、合計32件の意見書が提出された。 2005年02月05日(土)には、意見聴取会が開かれ、一般市民にも陳述の機会が与えられた。これに対して市民の側から、意見書(32件)の公開や意見聴取会の議事録公開等を求める要望、あるいは、中村慎吾座長の議事運営方法等に対して抗議がなされた(2月22日要望書)。この件に関しては、6月11日文書(5/30付けのお礼と要望)で、改めて具体的な回答を求める要望が再度行われた。 第4回検討委員会(2005年02月28日)傍聴者から、同委員会議題に意見聴取(2月5日開催)が入っていないことに疑問を呈する公開質問状が提出された(2月5日意見聴取の目的と扱いについて)。この件に関して、機構側の回答を不服として合計3度のやり取りが行われた。さらにその後改めて、2月22日要望書について具体的な回答を求める要望が再度行われた。 第6回検討委員会傍聴人有志によって、「ツキノワグマについての公開要望書」(2005年06月04日付)が提出されている。その中で、要望2として「金井塚務先生を、ツキノワグマの問題の参考人として、次回検討委員会に招聘されるよう要望します」としている。しかし、第7回委員会以降、最終回(第9回)まで「西中国山地のツキノワグマ研究の第一人者」が委員会に招聘されることは遂になかった。 環境NGOの活躍: 「森と水と土を考える会」は、十方山林道問題に初期のころから一貫して取り組んでいる。その成果として、"渓畔林部分は拡幅しない"という結論を導き出し、また環境保全調査検討委員会の設置に影響力を与えたといえる。そして現在でも自前で植物関係を中心に現地調査を続け、緑資源機構に対して情報提供・質問・要望を繰り返し行っている。 2005年には、特に"林道新設部分"について調査を行った。そこには豊富な樹種の巨樹が林立しており、林床では貴重種(絶滅危惧種)が数多く見られた。渓畔林部分同様、ここもまた植生豊かな地域であることがわかってきたのだ。林道の新設によって、これらの植物が大きなダメージを受けることは確実と思われる。 ところで、大規模林道化のもう一つの大きな問題点が、"地盤の脆弱さ"にある、ということは間違いない。それにもかかわらず、緑資源機構ではきちんとした地質調査は行っておらず、また、環境保全検討委員会に地質の専門家は一人も加わっていない。 宮本隆實・古川耕三の両名は、自らの調査結果「細見谷地域十方山林道周辺の地質」(日本地質学会発表および林野庁提出済)を踏まえて、道路改変への評価を行い、また後日、検討委員会に地質の専門家を加えること等の要望も行った。 両名の出した結論は、”現林道に新設、拡幅、舗装を行わず、地滑りなどの危険箇所に安全対策を施して利用することが、道路の安定性の確保及びコスト面から考えて最善である。”というものであった。しかし、機構側は、“地表地質調査については、本委員会の検討対象とはしていません。”としか回答していない」。結局、地質の専門家は誰一人として環境保全検討委員会に加わることはなかった。 環境保全フォローアップ調査計画: 2006年(平成18年)10月5日(木)に、緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)環境保全フォローアップ調査計画が公表された(緑資源機構広島地方建設部発)。調査の目的は次の通りだという。 「環境保全フォローアップ調査は、事業の実施が環境に及ぼす影響を十分把握し、環境保全調査において予測された事項の検証等を行うとともに、自然環境の保全のための措置の効果等を確認し、その結果を踏まえ、必要に応じて適切な措置を講ずることにより、事業の実施が環境に及ぼす影響を最小限に抑えることを目的とする 」 "環境保全フォローアップ調査"なるものは、第7回検討委員会(2005年07月10日)で提唱された。工事を行いながら、それと平行して工事の施工中、施工後の環境への影響調査を行うという説明だった。 しかしながら、環境保全調査検討委員会(付帯意見)や期中評価委員会は、事前の調査不足をきびしく指摘している。工事前の基礎となるデータが不足しているならば、工事が環境に与える影響を計ろうにも正しい評価ができるはずはない。つまり、さらなる事前調査データの蓄積が求められていることに変わりはない。 「細見谷と十方山林道」(2006年) 緑資源機構>>業務内容>>林道に関する業務>>環境保全調査等 植物生態研究室(波田研)のホームページ
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