AKIMASA.NET >> 細見谷渓畔林と十方山林道(出版計画)

 

<はじめに>


広島県廿日市市吉和の最奥にある細見谷を流れる細見谷川両岸には、細見谷渓畔林という渓流沿いの美しい水辺林が発達しています。本書は、その十方山・細見谷に魅せられ、多くの人達との交流の中で過ごした4年間に一区切りをつけるため、自分史としてまとめたものです。

 私が、この細見谷に初めて足を踏み入れたのは2002年夏のことです。その当時すでに、渓畔林を貫いて走る十方山林道を拡幅舗装化する工事(つまり細見谷大規模林道工事)計画が進められていました。その一方で、計画に反対の立場から、一般市民および専門家による細見谷の本格的学術調査が、ちょうど開始された時期でもあります。

 私の細見谷初体験は、こうした調査の中心人物の一人であった故・原哲之さん(N.Hara、農学修士)のお誘いを受けて実現したものです。原さんは、私の参加した小型サンショウウオの調査をはじめ、動植物あるいは地質等に関する調査資料をまとめて、「細見谷と十方山林道」(2002年版)を完成させました。この書籍は、細見谷における初めての本格的学術調査記録として、専門家からも非常に高い評価を受けています。

 原さんとは、お互いのホームページを通じた付き合いで、この時が初対面でした。そして私は、この時から各種現地観察会や講演会に数多く参加してきました。そこで見たり聞いたりしたことを、自分なりに考えてまとめる作業を繰り返してきました。

私が、原さんの所属していた"森と水と土を考える会"に入会したのは、原さんが2005年春に病気で亡くなった(享年41歳)後のことです。そしてその年の暮れには、ちょっとしたきっかけから大量の資料を預けられて、「2002年版刊行後の活動記録」をWeb上で作成する役目を引き受けることになりました。そして遂には、そのWebデータを基にして、私が編集者となり「細見谷と十方山林道」(2006年版)を出版することになったのです。

もちろん、自ら調査の先頭に立ち、その上で基本文献を渉猟してまとめあげた原さんと、既存の資料を読みやすく並べて簡単な説明文を付けただけの私とでは、仕事の質・量ともに雲泥の差があることは申すまでもありません。

「細見谷と十方山林道」(2006年版)出版後の8月に、平成18年度期中評価委員会(林野庁)の結論が出されました。大朝・鹿野線のうち、二軒小屋・吉和西工事区間(つまり細見谷大規模林道工事)について内容を確認すると、工事区間のそれぞれ両端にあたる“吉和側と二軒小屋側の拡幅部分”については、「環境保全に配慮しつつ工事を進めることとする」となっています。一方で、工事区間の中央部にあたる“渓畔林部分及び新設部分”については、「引き続き環境調査等を実施して環境保全策を検討」となっています。

細見谷大規模林道工事は、2006年11月21日、吉和側、二軒小屋側の両端から着手されました。細見谷は今、一つの大きな節目を迎えたといってよいでしょう。21世紀は環境の世紀、細見谷を全山落葉広葉樹で覆われた昔の深い深い森に還してやろうではありませんか。チャンスは今しかありません。

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追記(2007年5月31日)
細見谷大規模林道工事は、工事主体である独立行政法人「緑資源機構」(農林水産省所管)による「緑資源」幹線林道事業として実施されているものである。その「緑資源機構」に関して、天下り、官製談合、そして多額の政治献金疑惑など、問題点が次々と指摘されている。そうした中で、政府の規制改革会議(議長、草刈隆郎日本郵船会長)が30日取りまとめた第1次答申には、「緑資源機構」の主要事業である林道整備、農用地整備の廃止が盛り込まれた。そして、安倍晋三首相は同日夕、この答申を踏まえて、緑資源機構を事実上解体する方向で検討する意向を表明した。林野庁:農林水産省の外局。三公社五現業の現業であり、左記8組織の中で、現在でも唯一、国家公務員としての地位を維持している。


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